霊の話
"幽の話" の中で「幽体は簡単に肉体から離れることができるけど、霊体はそう簡単には離れられない」と書きましたが、これは非常に大切なことです。
霊体が肉体と離れる時は、基本的に死んだ時のみです。(臨死体験などは持ち出さないでください。ケースによってバラバラなので、ひとくくりにして話ができないからです)
人が死を迎え、肉体と霊体が嫌でも離れます。その時、霊のとる行動はどんなものだと思いますか?
いきなり空を飛んだり、壁抜けをしたり、ものを念力で浮かせてみたりすると思いますか?
仮に日常的にそのようなことを、手品や奇術ではなく本物の超能力で行なっている方がいれば行なうと思われますが、普通はそんなことはできませんので霊になっても出来ません。
これはどういうことかと言いますと、肉体の時に培った経験や常識に縛られてしまうということんです。
だから、霊は生きていた時と同じようにタクシーに乗って移動したり、自分の足で廊下を歩いたり、エレベーターに乗ったりするのです。
霊は飛行機に乗ることもあります。その時は、飛行機の中で誰かが死んで地縛霊になったというよりは、他の客と同じように搭乗口から乗ってきます。
元は人間でしたので、人が集まるところには集まりやすいですし、生前と同じものが好きです。(好みは変わらない。ただし、捉え方が変わることはある)
あとね、地縛霊とかって言いますけどね、その土地に縛られるなんてことがあり得るとは、到底思えないのですが、明らかにその土地に縛られているという話があれば、是非とも聞いてみたいものです。
アパートで自殺するじゃないですか、そしたらその霊はどうなるか? そのアパートの その自殺した部屋にいるんですね。なぜかというと、そこは自分が寝泊まりしていたところだから。
誰でも、自分が寝泊まりするための部屋があれば、そこにいると思います。
霊は、突拍子もない行動は とりません。
飛び降り自殺のように外で自殺した場合はどうなるのでしょうか? それは、ケースバイケースとしか言いようがありません。
自分が住んでいるマンションや 入院先の病院の屋上なら、夜になると部屋に戻るかもしれません。戻ったり 自殺しに行ったりを繰り返すかもしれません。
しかし、それとて縛られているわけではないので、何かの拍子に違う行動を起こし出すことはあります。
どこかの山奥なら、帰りようがなくなるでしょうね。そこで途方に暮れているかもしれませんね。
霊は、突拍子もないことはできないのです。
しかし、しかしですよ。ここまで読んで「ラップ音や ポルターガイスト、お経や呪文のような声が聞こえたり、光が見えることもあるし、かなりバリエーションに富んだ霊現象が目撃されているんだけど…」と思われるかもしれませんね。
長く霊として存在していると、いつの間にかこの世での常識に縛られなくなることがあります。
死んですぐは、どんな霊も生きていた頃と同じ経験や常識に縛られます。これは、ほぼ絶対です。
しかし、肉体がなくなれば、残るのは幽体と霊体です。肉体の維持にパワーを使わなくて良いので、結構、パワーが強いわけです。
悪意がある霊や 驚かせることが好きな霊であれば、そのパワーを使って色んな現象を起こすこともあります。
悪意のない霊であれば、そのパワーで成仏できますが、悪意があればこの世にいつまでも残ります。
自ら選んでこの世に残り、そしていつまでも同じことの毎日を過ごすようになります。
元は人間なのですが、誰にも見えないし 誰も近づかなくなるわけです。つまり、この地球上の人間全員から無視され続けるわけです。それは孤独です。孤独ゆえに人を驚かせるのです。
悪意ゆえに成仏せず、悪意ゆえに孤独になり、孤独ゆえに悪意を周囲に振りまくしかできなくなる… これも一つの地獄と言えるかもしれません。
自殺した人はどうなるのか?
自殺する人は、死ねば幸福になると思ってするわけではありません。本心では生きたいのですが、今受けている苦しみがあまりにも辛く、その辛さから解放されたくて自殺するわけです。
つまり、この世に強い未練を残していることになります。
この世に強い未練を残しているため、この世から離れることができません。しかも、誰にも見えないので、無視され続けるわけです。
霊になったとはいえども、元は人間です。無視され続けることは本当に辛いはずです。
その辛さの中、仲間を求めてみたり、自殺を繰り返してみたりするのです。そこに縛られるのでは無く、周りに人はいても自分独りというし状況に耐え切れず、この苦しみから解放されたくて、何度も自殺を繰り返します。
苦しみから解放されたくて自殺したはずなのに、なぜか死んでも苦しくて仕方がなくなるのです。
しかし自殺した方には、救いの方法があります。
それは、できるだけ故人と関係ある方達が、故人のことを忘れず 思い出などをいつまでも心に持ち、出来ることなら時々 集まっては故人のことを語り合うのです。
もちろん、誹謗中傷なんかはもってのほかです。楽しかった思い出などを語り合うのです。忘れていないこと・今でも愛していることを示すのです。
更にもう一つ、自分自身が幸せになることです。
それは、幸せは幸せを呼ぶということです。自分が幸せになれば、周囲の人にも良い影響が出ます。もちろん、故人に対しても良い影響が出るのです。
だから、そうやって行けば時間はかかるかもしれませんが、きっと自殺した故人は苦しみから解放されて、成仏することができるはずです。